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能登半島地震における仮設住宅団地の住環境調査と課題抽出

-仮設住宅の居住者と設計者へのヒアリング調査-

​安藤こと葉 森本登規

能登半島地震で建設された応急仮設住宅を対象に、熊本地震からの改善点を整理した上で、木造仮設18団地を設計した建築家1名と仮設住宅居住者46名(9団地)に対しアンケート・ヒアリング調査を行った。結果、プレハブ型と比べると半数以上の項目で木造型の方が快適という評価を得た。また問題点として、庇接合部の隙間の有無など各団地で住宅性能に差が生じていることや、豪雪や多雨に対する対処が不十分で北陸の地域性が設計に加味されていないこと、今回新たに設計された緑のコミュニティ広場の使用方法が不明などの問題点が挙げられた。

野々市市北国街道におけるウォーカブル環境づくり研究

​-歩行者分布分析、QRクイズラリー試行歩行空間整備の社会実験を通して-

上野耀士 山本大喜

野々市市北国街道を対象に、まず年間を通じた歩行者・自転車分布を分析し、本町通りでは、平日の車の交通量が歩行者数の約270倍多いことが確認された。次にウォーカブル案として試行したQRコードクイズラリーの参加率が低かったため、歩行者の快適性・安全性を重視し、カラーコーンでボンエルフを増設かつ進入不可、また歩道を拡幅する社会実験を実施した。その結果、車の平均通過速度が約3割減少し、ヒアリングした歩行者の8割以上が安全性向上を感じた。ボンエルフ増設や障害物設置、歩道拡幅は、ウォーカブル環境づくりの有効な手段の一つといえる。

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夏季の観光客の街歩きを快適にするルートマップの可視化に関する研究

​-金沢市中心市街地における3D都市モデルとGISの活用-

工藤 愛子

本研究は、金沢市観光客の熱中症リスク軽減と快適性向上を目的に、GISと3D都市モデルを用いた可視化ツールを構築した。2D地図で広域情報を把握し、3Dモデルで地形の起伏や建物配置を視覚化し、観光地の雰囲気は写真で補完した。スマホやPCで利用可能なWebサイトを開発し、アンケートでは視認性や情報取得の有用性が確認されたが、熱中症情報の不足やストリートビュー機能の未実装が課題に挙げられた。今後はルート案内、多言語対応、リアルタイム情報提供を強化し、実用性を高めた上で社会実装を目指す。

舗装散水システムの提案と社会実装に向けた課題抽出
-施工、利用者ヒアリング、費用対効果試算を通して-

岸旭飛 杉田朔也 山田幹汰

ヒートアイランド対策として塩ビパイプ、農業用ホースを用いた散水システムを提案した上で、金沢工大の駐車場等3か所で施工・運用し、舗装面温度実測、利用者意識調査、費用対効果算出を行い、社会実装に向けた課題を抽出した。駐車場では1水源で最大1070㎡ほど濡らせた。運用中に車の通行等で固定器具が外れるなどの問題が起きた。意識調査では否定的な意見が14%ほどあった。塩ビパイプシステムの費用対効果は昨年度システムと比べて悪くなかった。課題として、強度・耐久性、均一に濡らすこと、適切な散水時間・量、冷却効果の可視化の4つが抽出できた。

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金沢市万願寺山周辺の谷地形に着目した夏季夜間の冷気流に関する実測研究

中澤知人 宮澤洸

金沢市の満願寺山周辺の山地と隣接する市街地を対象とし、夏季夜間の定点気温観測と移動風速実測を行い、谷地形における冷気の流れを把握した。分析は大きさの異なる3つの谷の気温低減効果を中心に行った。その結果、谷と尾根の間で最大約3℃の気温差が観測され、冷気流が谷底に滞留することが示された。谷が大きいほど冷気が強く、また谷口の風速も大きくなる傾向が見られた。典型日において大きな谷では下方(風下)の市街地で2℃の気温低減域の距離が約1kmであった。さらに夜間の相対湿度の低さも冷気流発生の重要な要因であることが明らかになった。

大学キャンパスにおけるクールスポット創出と利用実態・意識・熱環境調査
-社会実装に向けた提案と課題抽出-

​小川亮太 松田協実

本研究では、夏季屋外の熱中症リスク、暑さの不快感の軽減のため、金沢工業大学扇が丘キャンパス周辺にクールスポット6種を創出した上で、利用実態・意識・熱環境調査を行った。利用実態調査では林内の利用者が少ないこと、意識調査では、グリーンカーテンは景観の良さなどから利用者に好印象を与えることを確認した。熱環境調査では、林内のSET*低減度が最も大きく、また利用率を考慮した費用対効果は、グリーンカーテンが最も高いことが確認できた。社会実装に向けた課題として、パラソル・タープ類の強風による倒壊、維持管理にかかる労力などを抽出した。

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夜間の自動車排熱に関する熱環境実測

森田慎之介

夜間の自動車排熱に関する数値解析モデル作成に向けて、自動車の種類や状態に着目した上で、車を停車させた状態と走らせた状態で車周辺の熱の広がりを計測し分析した。停車させた状態の実測ではエンジン付近の車周辺25~150cmの範囲で最大約20℃の気温上昇が確認され、エンジンが大きな排熱源であることが把握された。車周辺の気温はガソリン車、ハイブリット車、電気自動車の順で高くなり、また排気量、エンジン回転数が大きくなるにつれて気温が上昇した。走らせた状態の実測では、条件によりばらつきはあるものの最大で約0.5~1℃の気温上昇が確認された。

建築設計における熱流体解析ソフトButterflyを用いた環境評価の手順書作成
-建築設計事務所での実務を通して-

金浦飛雄

本研究では、安価な熱流体解析ソフトのButterflyを用いて建築設計時における熱・風環境を評価する手順書の作成を目指す。建築設計事務所(G社)と協力し、今後実際に建てられる物件を対象とし、Butterflyの操作・解析方法、その他の熱流体解析ソフトとの比較を整理した上で、学生や実務者がソフトウェアの操作習熟の時間を短縮できる手順書を作成した。建築学部3年生1名のみだが使用感調査も実施した。解析条件設定等で未解明な部分がいくつか残り、それを解明していくことと、学生等による使用実績を増やしていくことが今後の課題である。

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