
2025年度PDⅢレポート

クラウドCFDSimScaleの初学者用手順書の作成
出塚 輝葉
本研究は、建築環境分野における安価なCFD解析の実務・教育的活用を目的とし、OpenFOAMを基盤とするクラウド型CFDツールSimScaleに着目した。既往研究として金浦は、OpenFOAMを計算エンジンとするButterflyを用いた環境解析の手順書を作成したが、複数の課題が残された。本研究ではこれらの課題を踏まえ、SimScaleの解析特性を把握した上で、初学者向けの風解析手順書を作成した。結果、学生が手順書のみで空間モデル作成から解析、結果の可視化まで完了できることを確認し、建築教育への導入可能性を示した。
能登半島地震のおける仮説住宅団地の生活環境に関する調査と提言
-多様な住宅形態・緑の広場・コミュニティ等に着目して―
吉岡 蓮央
広上 洸之介
飯島 基

能登の仮設住宅について、昨年度の調査結果を踏まえた上で、多様な住宅形態の生活環境、緑の広場(12か所)・コミュニティセンター(3か所)の利用実態を調査した。居住者51名へのアンケートや設計者との意見交換、過去の震災仮設住宅比較から、断熱性能向上で温熱環境は改善された一方、部屋の狭さや音環境、積雪対策が課題であることが判明した。また広場の利用は限定的だが、コミュニティセンターは高齢者支援の場として機能していた。これらを踏まえ、世帯構成に応じた住戸面積の細分化や多雪・高齢化など地域性に適応した設計指針策定などを提言した。

コケ植物を活用した調湿建材の性能評価と居住環境への応用可能性
柳原 誉
コケ植物を室内に用いる調湿建材としての活用可能性について、吸放湿性能と外観に対する印象評価により評価を行った。既往研究より選定した3種のコケでの湿度応答法の結果において、最も吸放湿性能が見られたスナゴケでも調湿建材の判定基準の50%程度に留まった。室内加工画像と実物のコケを用いたSD法による視覚的印象評価では、壁面設置の場合、コケを小面積で用いる方が高評価となった。今後は、スナゴケ厚さと湿度応答法の試験条件の見直し、および実空間での評価を通じて、調湿建材としての活用可能性をさらに検討したい。
舗装散水システムの実用化に関する研究
-路面条件に応じたシステム選定および固定器具の強度向上-
池田 聖菜
森吉 剛太

ヒートアイランド対策として、塩ビパイプ・農業用ホース・融雪プロテクターを使用し、場所の条件に応じた舗装散水システムの選定と施工方法を検討した。金沢工大キャンパス内の複数駐車場で散水面積などを実測し、通行人ヒアリングや固定器具の強度実験も実施した。74号館前では傾斜を利用し、1水源で最大450㎡濡らした。固定器具では100mmメジャーネイルは車両踏圧20回後も変化はなかったが、ねじアンカーは軽微な浮きが生じた。またシステムの組み合わせによる費用対効果向上の可能性を示した。さらに以上の結果から散水システムの選定指針を作成した。

手取川扇状地の社叢林における生物多様性に着目したガイドブック作成に関する研究
成田 新之介
本研究では、手取川扇状地の7つの社叢林を抽出し、生物多様性の観点から現状を把握し、その結果を基に保全価値を示すとともに、地域住民に周知するためのガイドブックを作成・提供した。結果から、一部の社叢林はウラジロガシやスダジイ等の在来植物の保全に寄与する重要な植生保存空間であること、また一部ではキツネやタヌキ・イタチ等の哺乳類の潜在的生息地として一定の価値を有することが示された。ガイドブックの作成・配布を通じて、宮司や地域住民から一定の評価を得ることができ、社叢林の生物多様性の重要性を示すことができたと考えられる。
金沢市の里山の維持管理に関する課題の把握
前田 秀太朗

竹の研究者